2020年12月27日日曜日

今年最後の学生実習

26日の山中湖:最低−8℃、最高5℃、晴れ 27日の山中湖:最低−8℃、最高7℃、晴れ いつもは6月に現地実習(フィールドワーク)が行われている1・2年生向けの教養科目、「森林環境資源学 」ですが、今年は前半の学期での開講はやむなく見送りとなり、後半の学期で開講されています。 この二日間は、「森と癒し」をテーマとする実習が行われました。 これほどまでに年の瀬に押し迫った時期での学生実習は初めてのことです。 泊りがけでの実習実施は認められていないため、学生を2つのグループに分け、土曜日と日曜日に同じプログラムを実施しました。 それぞれ15名ほどの学生が参加しました。
短縮プログラムとなったことで、今年の実習は、「癒し」を見る観点をつかむことにしぼりました。 まず、学生は3つの班に分かれて、お互いのコミュニケーションをしながら、課題に取り組んでもらいます。これまで、オンラインの講義で同席はしていたものの、リアルの受講仲間と顔を合わせるのは初めてなので、最初はだいぶぎこちなく見えました。
午前中は、講義室を出発点として、それぞれ趣の異なる林内の各所をめぐり、ワークシートを使って、その場所の特性を読み取り、「癒し」の観点からの評価をして回りました。 課題地点は決して広くないのですが、いざ、よく観察して評価しようとすると、とても時間がかかります。 いろいろ目につくものもあるようで、学生たちからは多くの質問が飛んできました。 かなり鋭い指摘もあり、わたしたち教員もやりがいのあるひとときでした。
お昼は、各自で持参した昼食を、好きなところで自由にとってもらいました。 外のひだまりが人気で、ナラ枯れ被害のため倒しておいた丸太には、多くの学生が腰掛けていたました。きっと何か惹き寄せられるものがあったのでしょう。
午後は、午前中の観察・評価をもとに班ごとで、こうしたらいいというプランを立て、プレゼンをしてもらいます。 班ごとに大きな白地図に個人の気づきやアイデアを落とし込んでは、藩内で話し合って、班としてのプレゼン内容を相談してもらいました。
まとめ作業に行き詰まったら、、、ということはなく、強制的に約30分のリフレッシュ・タイムが各班に与えられました。 この時間では、学生に焚き火と薪割りを体験してもらいました。 やはり初めての体験という学生が多く、午前中とは違った角度からの森の「癒し」の発見となったようです。
最後は、班ごとのプレゼン&ディスカッション。 それぞれ独自の視点で「癒し」をとらえ、新たな森の活用の可能性を考えてくれたことが伝わってきました。 年内の学生実習はこれで終わり。 しばし、林内は静かな時期を迎えます。 みなさまも良いお年をお迎えください。

2020年12月20日日曜日

落ち葉焚き2020

 本日の山中湖:最低-9.4℃、最高2.3℃ 晴れ

今日は、森林整備の一環として毎年恒例の落葉焚きを行いました。

日中でも気温2℃と寒い中での作業でしたが、参加者の皆さんの奮闘で林内がきれいになりました。
まずは、細い枝を集めて火をつけます。

どんどん枝を燃やして熾火を作ります。











落ち葉を掃き集めて燃やしていきます。




お昼は、炭や薪を使ったアウトドア料理。
アツアツで体も温まりました。























2020年12月8日火曜日

ナラ枯れ被害説明会とワークショップ

 本日の山中湖:最低-2℃、最高12℃、曇り時々晴れ

富士癒しの森研究所では、昨年に2本のナラ枯れ被害が初めて確認されましたが、今年は被害が一気に拡大しました。

状況は周辺地域でも同じようで、今年は村内各所で多くのナラ枯れ被害が確認されています。

あまりの急激な変化に不安になられている地域の方々もいらっしゃるため、山中湖村と共同で説明会とワークショップを企画し、本日、村の公民館で開催しました。

コロナ対策のため定員をしぼっての開催となりましたが、定員ぎりぎりのおよそ50名の方々が会場に集まりました。


今回の説明会とワークショップは、住民の皆さんの不安の解消を一番の目的としています。そこで、前半は、なるべく正確なことをお伝えするための説明会としました。多くの質問が出て、みなさんの関心の高さがひしひしと伝わってきました。


中休みの間には、実際に研究所内で伐られた被害木を見てもらったり、そこから這い出してきたカシノナガキクイムシの幼虫を見てもらったりしました。

山中湖村は、森林の中に宅地が点在するような状況が多いなど、特有の事情があるため、村独自の対策を考える必要があります。後半は、今後の村独自の対策について見通しをつける足がかりとしてのワークショップとして、皆さんが思っていることを付箋に書いて貼り出してもらいました。

例えば、「不安に思っていること」というカテゴリーでは、根本的な情報不足が不安の要因になっていることが垣間見られたり、暮らしや環境の視点からの不安について知ることができました。

役場の担当者としても、直に住民の皆さんの意見を吸い上げることに手応えを感じたようで、今後、ここで出た意見にじっくり向き合って、村としての対策を考えていくそうです。富士癒しの森研究所としてもこれに全面的に協力していく予定です。



2020年12月4日金曜日

ナラ枯れ危険木の伐採

 本日の山中湖:最低-2.8℃ 最高8.5℃

今年の夏発生した、カシノナガキクイムシによるナラ枯れ木の伐採作業を行っています。

大きな枝張りのクリの木で、道路の横にあるため慎重な枝おろしが必要なことや、林地をできるだけ荒らさないことに配慮して、特殊伐採の技術を持つ業者さんに伐採をお願いしました。特に道路側に伸びた大枝が最難関でしたが無事に伐採できました。



















2020年11月27日金曜日

山梨県富士山科学研究所 トレンチ調査

本日の山中湖:最低2.6℃ 最高8.7℃ 

山梨県富士山科学研究所による掘削調査が始まりました。 深さ6mほどの穴を掘り、
あらわれた火山灰層の記載とサンプリングが行われています。



 




*この場所を含むエリアは立ち入り禁止となっておりますので、利用を検討されている方は事前にご相談ください。

2020年11月25日水曜日

12/8ナラ枯れ被害に関する説明会・ワークショップのお知らせ

山中湖村では、今年、急激にナラ枯れの被害が発生しました。 富士癒しの森研究所でも多くの被害木が発生しました。 多くの方が、突然の事態に不安になられていることと思います。 このたび、山中湖村と共同でナラ枯れ被害に関する説明会と今後の対策を検討するワークショップを企画しましたので、お知らせいたします。 コロナ対策のため、事前の参加申込みが必要となります。 詳しくは、以下のサイトをご覧ください。 https://www.vill.yamanakako.lg.jp/docs/2020112500012/

2020年11月15日日曜日

プロトタイプ音楽会(Oto Care)

本日の山中湖:最低-3℃、最高13℃、晴れ時々曇り 本学生産技術研究所の研究者などが中心となって取り組まれている、Oto Careというプロジェクトの実験的な音楽会が研究所の森を舞台に行われました。 この取組は、音楽を通じた森と人の関係の新たな模索、とりわけ、音楽がもたらす人間の健康への影響を探ろうとするもです。 この日は、5つの演奏プログラムが林内で展開され、インターネットを通じた中継が行われました。
まず上演したのは、山中湖村のコーラスグループ「コールふじまりも」のみなさん。 講義室のすぐ横で済んだハーモニーを響かせてくれました。
次は、講義室前の旧庭園の少し込み入った森に場所を変えて、ピアニストの三浦永美子さん。ピアノは林内に持ち込めないので、今回はトイピアノでの演奏です。 斜陽に照らされる落ち葉が舞うなか、かわいらしい音色が転がっていくようでした。
その次は、少し開けた林内で、大石将紀さんによるサクソフォンの演奏です。 野太く芯のあるような音が森の中に響きます。クラシックの曲目もありましたが、あえて太い木の幹に音を反響させるような実験的な音出しもされているようでした。
今度はガラッと変わって、千葉伸彦さんとおのまりさんによるアイヌの歌と踊りの共演です。 トンコリという弦楽器で伴奏しつつ、アイヌ独特の発声法で歌が繰り広げられ、時折、なにか森の生き物の存在を感じさせるような音が森に響きました。
最後は、畠山地平さんによるエレクトロニックミュージックです。 最も自然から遠いと思われる音をどう自然環境の中に響かせるかという実験のように思われました。森の中で聞いてみると、神秘的な音として感じることができるように思いました。 研究所にとって何よりの収穫だったのは、これまで出会うことのないような多彩な方々と知り合いになり、また仲良くなれたことです。 このつながりを活かし、今後も新しいことにどんどん挑戦していきたいと思います。

2020年11月14日土曜日

今年初の農学部の学生実習

13日の山中湖:最低1℃、最高15℃、快晴 14日の山中湖:最低-1℃、最高17℃、快晴 新型コロナの影響で中止続きだった農学部の学生実習でしたが、この度、ようやく富士癒しの森研究所を拠点とした実習が実施されました。 森林政策学演習という科目で、7名の学生が対面での実地演習にのぞみました。 いつもであれば、2泊3日の日程ですが、今年は1泊2日に短縮して訪問地を絞って演習を行いました。
この科目は、演習林外での聞き取り調査演習がメインですが、2日目の朝には、短時間ですが研究所のしんりんを見学してもらいました。 演習林を歩くのが初めてという学生も複数いて、森林教育にとってもコロナの影響の大きさを感じずにはいられませんでした。 ともあれ、実際の森の姿と、現場の地域の方々の姿に触れてもらえる機会が実現できたことは、大きなことだったように思います。 これからも、可能な限り多くの教育活動を受け入れていきたいと思います。

2020年10月25日日曜日

全学体験ゼミナール「森のエネルギーを使いこなす」2020

24日の山中湖:最低2℃、最高14℃、曇りのち晴れ 25日の山中湖:最低−1度、最高15℃、快晴
霜と氷の季節を迎えた山中湖は、いよいよ木々が色づき、秋も終盤となってきました。 この週末の2日間、研究所で10年ほど行われてきた東京大学1・2年生対象の講義、全学体験ゼミナール「森のエネルギーを使いこなす」の現地講義が行われました。 今年はコロナ禍の影響で開講が危ぶまれましたが、これまでキャンパスで行っていた講義はオンラインで、現地講義は日帰りで、とプログラムを大幅に組み直して開講に漕ぎ着けました。 17人の受講生を土曜日に9人、日曜に8人とグループ分けして、それぞれ同じプログラムで体験・学習してもらいました。 学生たちは、さらに2班に分かれて、一方は薪割り、一方は薪ストーブ利用家庭の聞き取り調査を行いました。
聞き取り調査では、はじめて見る薪ストーブを前に、薪はどのように手に入るのか、メンテナンスはどうなっているのか、どんな良さがあるのかなど、リアルな薪ストーブ生活をさぐる質問が学生たちから次々に飛び出しました。 後半では、風呂焚きと焚き火・調理実習の班に分かれて作業をしました。
風呂焚きを担当した班では、湯船に入れた水の量と温度を計測して、希望の温度まで上げるために必要なエネルギー量を計算。 その計算と、エネルギー効率の推定をもとに、必要な薪の量を申告してから、その量の薪を使って風呂焚きの体験をしました。
煙突から出る煙の色などを見ながら、焚き方を試行錯誤していました。 お湯の温度の上がり具合が気になって、頻繁にかき混ぜ、温度を測っていました。 土曜日の班ではなんと、申告量通りで希望のちょうどいい温度のお湯にすることができました。
焚き火担当の班では、まず、焚きつけとなる杉の葉集めから。 自分で火を焚きつけるのは、みんなはじめてということで、どうしたらマッチ一本でうまく焚き火になるのかを話し合ってもらってから、焚き火を実行してもらいました。
なかば強引な手法もありましたが、なんとか無事に着火でき、枯れ枝をどんどん投入して盛大な焚き火にすることができました。
お楽しみの調理実習では、恒例のカボチャの蒸し焼きづくり。 ハロウィーンも近いということで、カボチャを丸ごと使った料理に学生たちはテンションが上がります。 これを焚き火でできた大量の熾火の中に埋めて、1時間ちょっと放置。
最後は、薪がまで焼いたピザと、蒸し焼きカボチャで早めの夕食。 森のエネルギーを使った料理を存分に楽しんでもらえました。 学生たちは、お互いが今回がはじめての対面の機会ということで、コミュニケーションに心配もありましたが、そんなのは全く杞憂でした。 すぐに打ち解けて仲良くなり、ワイワイと実習を楽しんでいました。 心底、対面での学習に飢えていたように見えました。 オンライン続きの今年の大学教育ですが、改めて現場での教育活動の大事さを気づく良い機会になりました。

2020年10月22日木曜日

癒しの森の会の活動の報告会参加

本日は、去年の癒しの森の会の活動を助成いただいた公益財団法人山口育英奨学会の活動報告会に参加するため、新潟県に行ってきました。 奨学会でも森林を所有しており、これまでなんどか山の整備や活用方法について意見交換をさせていただいておりました。
今回、久しぶりにお邪魔させていただいたらきれいなマップができて掲示されていました。

報告会の前にすこし歩かせていただき、秋の新潟の森を楽しませてもらいました。 報告会は、去年できたというきれいな建物で行われました。

6つの団体が参加して、それぞれ団体の概要や活動内容を報告しあいました。 癒しの森の会の活動については、講義室のオープンテラスづくりを中心に紹介し、それが思わぬ果実となった「癒しの森の朝もや音楽会」の様子をビデオで伝えてみました。 どの団体の活動も地域の事情や、将来世代への継承が良く考えられてとても勉強になりました。 今後、活動団体どうしの横のつながりが重要になってくるでしょう。

2020年10月12日月曜日

秋の彩り

本日の山中湖:最低13.8℃、最高21.0℃、くもり

秋ですね。台風明けの林内巡視の時、赤い実が目に留まりました。 ツタウルシも色づいてきました。

 
ヤマボウシ

 

 

 

 

 

 

 

サンショウ

 

 

 

 

ガマズミ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラマツに絡まるツタウルシ

2020年10月9日金曜日

富士癒しの森研究所の本が出ました

 富士癒しの森研究所が10年近くにわたって考えてきたこと、実践してきたことが本になりました。

東京大学富士癒しの森研究所編『東大式 癒しの森のつくり方:森の恵みと暮らしをつなぐ』築地書館、2000円+税

楽しみながらの森づくり(森いじり)、森の恵みをより身近に、より魅力的にする参考となれば幸いです。

全国の書店、インターネット販売店で買えるほか、研究所でも販売しております。研究所にお越しいただければ、2000円(税込)の特別価格でご購入いただけます。に触れる暮。

本の目次等の詳細はこちらをご覧ください。

2020年10月7日水曜日

第2回お試しチェーンソー講習

 本日の山中湖:最低7ど、最高15℃、曇りのち雨

6月にお試しでやった地域住民の方向けのチェーンソー講習ですが、玉切りと目立てについてもやりたいということで、本日、この二つをテーマにして実施しました。

まずはエンジン始動前に、チェーンソーの状態をチェック。
ソーチェーンが緩んでいないか、ブレーキはちゃんと効くか、燃料やオイルは適切に入っているかなどをチェックします。

エンジンが無事にかかったら、実際に持参いただいたチェーンソーで丸太の玉切りを体験してもらいました。
残念ながら、あまり切れない状態の刃もあり、切れるチェーンソー に持ち替えて、違いを体感してもらいました。

目立ての重要性がわかったところで、目立ての仕方について説明です。
模型を使ってチェーンソーの刃の構造を説明し、目立ての仕組みや各種の道具を紹介しました。
実際に、皆さんにも目立てをやってもらいましたが、やはり時間をかけてじっくりやる必要を痛感しました。
コツのいらない目立てができるパーツも紹介し、参考にしてもらいました。
来年以降、地域の皆さん向けにどのようなプログラムが組めそうか、検討していきたいと思います。