森の中で避けがたいリスクにハチ刺されがあります。毎年、全国で死亡例も出ているので、特に注意が必要です。
なかでも、「地蜂」と呼ばれるクロスズメバチ類は、地中に巣を作るため、存在に気付くのが極めて困難で、知らないうちに巣を刺激し、刺されるという被害が頻発します。
研究所では、少しでもリスクを軽減するために、春の段階での巣の除去も考えていますが、その前に、ここに分布しているハチの遺伝子的位置づけなどを確かめる必要がある、ということで、今日は、「ハチ追い」の熟練者の協力を得て、地蜂のサンプリングを行いました。
まずは、働き蜂を誘引するためのエサの準備。鶏の肝、胸肉、イカ、ザリガニなどの生肉を竹竿の先につけていきます。
林内に設置すると、まもなく地蜂の働き蜂がやってきます。働き蜂は、肉片をかじりとって巣に戻り、またエサに戻ってきます。戻ってくるまでの時間で、巣がだいたいどれくらい離れているのか、想定することができます。複数の巣からハチがやってくる可能性があるので、ハチに水性ペンキでマーキングして識別したりもしていました。
ターゲットのハチを見定めると、軽い目印をくくりつけた細かい肉片をつかませて、巣まで持ち帰らせます。
ハチが巣に向けて飛んだら、それを目印を身失わないようにダッシュです。
途中、どうしても見失ってしまうのですが、再度同じことを繰り返して、巣の位置を突き止めます。
苦労しながらも、何とか巣穴を突き止めました。目印がしっかり穴の中に引きこまれていますね。
働き蜂が頻繁に出入りしています。
少し離れたところで地面を踏み鳴らして、働き蜂に巣の防御態勢を取らせます。外に出ていたハチがおおむね戻ってきたことを見計らって、いよいよ巣の採取です。
いつもは使わないそうですが、今回は成虫をたくさんサンプリングする必要があるため、成虫を麻痺させるために煙幕を使います。
地中を掘り起こして出てきたのは、直径30センチほどの巣。
サンプリングも十分できました。
上が働き蜂で、下が女王蜂。大きさがだいぶ違いますね。
今回サンプリングされたハチは、いずれもシダクロスズメバチという種類の地蜂だそうです。
詳細は今後、DNA解析される予定です。
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